テニスショップADO菅原です。テニスのフットワークでストップ&ダッシュという言葉をよく使います。特にストップできる足腰の強さやぐっと止まれるような脚力が重要とされますが。『止まる』という動きが本当に次の動きへの効率性に繋がるのでしょうか? 

物体が動くためには必ずエネルギーが必要です。止まったものを動かすのと、動いたままのエネルギーをそのまま利用して次の動きにつなげるのでは間違いなく後者の方が効率性が良くなります。

自転車で例えるなら坂道の途中で止まってから動き出すのと一度も止まらずに走ってきたエネルギーをそのまま利用して登るのでは効率性が全然違いますよね。以前内力と外力の話をしましたが、止まったものを動かす=内力主体、動いたままのエネルギーをそのまま〜=外力主体 になります。

日本のフットワーク指導でよくみられるのが地面を自分から踏みにいかせる練習です。スライドの練習や足の回転数をあげ細かく足を接地し自ら踏み込んで止まる事が次の動きや切り返しがはやくなると言われますがこれは内力主体の動きになりますので非効率的な運動になります。そして接地する回数は全てブレーキになりますので止まったものを動かすための内力をまた必要とします。接地回数を増やし自分から地面を踏み込む程動きにくくなります。

フェデラー、ジョコビッチのフットワークは圧倒的な外力主体です。切り返しなどの動きをみても動いているエネルギー(慣性力、床反力)を効率よく利用し次の動きにつなげています。自ら踏み込んで止まるのではなく外力を使い一瞬アクセントを入れてブレーキをかけ次の動きへ。
スライドも外力が勝手に起こす力学的な現象です。そして動きの繋ぎ目は『ゆったり、大きく』動き外力をたくさん取り込むことで速く、細い動きも自在にできるようになります。フォア、バッグ、サーブ、ボレー、ダッシュ、ストップなど全ての動きは必ず前の動きを引き継ぎます。

そして何より足が上手く機能しているかが重要です。