テニスショップADO菅原です。新型コロナウイルスの影響で、仕事でも私生活でもさまざまな我慢を強いられる日々が続いています。「気持ちが落ち込む」「なんだか疲れた」など、心身ともにスッキリしないという人も多いでしょう。スポーツでも主要大会が中止、延期になったりで『やる気』を保つのがとても大変ですよね。

この『やる気スイッチ』を引き出してくれるホルモンが『ドーパミン』になります。ドーパミンはさまざまな行動の原動力になるヤル気を促し、幸福感を高める働きを持っています。他に代表的なもので心の安定をもたらす『セロトニン』優しい気持ちになる『オキシトシン』などがありますがこれらを幸せホルモンと呼んだりします。

ドーパミンは、意欲・運動・快楽に関係する脳内の物質です。スポーツの時に『これができるようになった!』『記録がでた!』『コーチに誉められた!』や『心地いいなぁ』『気持ちいいなぁ~』とあなたが感じる瞬間にはドーパミンが分泌されているんです!

何かの行動の見返りを得られた時に分泌されやすくなるので『ドーパミン=報酬』報酬系ホルモンと言われます。目標を達成した後に分泌され、その後”ご褒美”が与えられるとさらに分泌が促されるので気持ちよさを感じることができるので、また頑張ろう‼という気持ちになり、意欲がわき出てくるのです。そして達成感を維持するために必要なホルモンがアドレナリン。アドレナリンはドーパミンが変化したものなのでドーパミンが分泌された後には自動的にアドレナリンも発生するので、やる気へと繋がる仕組みになっています。

運動は神経回路がしつかりと根付く事ですが運動が身につくためには一つ一つのプロセスで『達成した』という報酬を得ることでしか根付きません。ですのでこの報酬系をまわすことに尽きるのですが…..

ただここで注意が必要なのがドーパミンは過剰に分泌してもダメなんです。ドーパミンの過剰な分泌は『快感物質』として強い報酬学習を引き起こしてしまいます。脳は、過剰な興奮状態にいたりそれは『快刺激』となり、忘れられなくなりその欲求を追い求め体に良いものとしてしまいます。いわゆる依存症『覚せい剤依存』『アルコール依存』『ギャンブル依存』などがあります。

最近ですと『ゲーム依存』アンダース・ハンセンによる本でも話題になっている『スマホ脳』もみんな『報酬系』がぐるぐる回ってます。

そう脳は身体にとって正しい報酬か間違った報酬かを選別できないということです。例えば怪我を繰り返す人、扁平足や外反母趾など構造的な問題がある人などそもそもこうやって動くようにできているという運動から逸脱しても人が持っている多様な代償力で運動を成り立たせる事ができちゃいます。しかも大会で優勝したり、好記録で走ったり、金メダル取ったりハイパフォーマンスも可能です。

市民マラソンで苦しくて、足をひきづりながらでもゴールした瞬間に『完走した!』『目標達成できた!』『走りきった!』で報酬系がぐるぐる回って足痛いこと、苦しかったことを忘れちゃいます。

脳にとっては目標を達成して報酬系が回ってしまえば身体的にとんでもない負荷がかかっているとか、怪我しやすい運動になっているかどうかはどうでも良いいという事です。でもそれは超ハイリスクです。学生時代に頑張りすぎた結果大人なっても後遺症を抱えていきている人は山ほどいます。

テニスでも第二の錦織圭、大坂なおみを育成するためにジュニアに激しいトレーニングや練習をしていますが身体的にも精神的にも成長して不安定になりやすい時でもありますのでコロナの影響で少ない練習時間の中でいつもより身体的に負荷をかける練習やトレーニングになっていないか、多少の怪我であれば我慢して続けてしまっていないか全国の学生さん達の身体がとても心配です。

負荷をかけるほど『きつい、つらい』と『痛み、違和感』の境目が鈍感になり気づいたら練習時間より通院する時間が長くなっていた事にならないように指導者の方が日々のコンデショニングに意識を向けて頂きたいです。