テニスショップアド菅原です。今回は支持基底面の大きさとバランスについてです。支持基底面は大きいほど安定すると思ってしまっていませんか?
これはマネキンのように動かない物体であれば正解ですが、ヒトのように柔軟性があり常に動いている物体には適応しません。支持基底面が大きな物体は少しでも動くと基底面がなくなってしまうからです。人間の場合、重心動揺が常に起こっているため基底『面』がいくら広くても意味がありません。
足底の接地面積が大きいほど安定するというのも誤解の一つです。動く物体は支持基底面が限りなくゼロ、つまり『面』ではなく『点』にならざるをえません。ですが脳性まひや脳卒中後の片麻痺などで見られる尖足ように足底を一点のみで支えると不安定になり転倒してしまいます。よく問題になる尖足は『接地面が狭くなること』ではなく『接地面が広くなり運動に対応できないこと』が問題と言えます。
外反母趾、偏平足など足部骨格配列が崩れた状態も接地面が広くなることで不安定なのと多方向に動きにくく筋力等で代償し動く必要があります。
ヒトの足底は「面ではなく複数の移動する点で支える」というシステムを採用しています。
日常生活、スポーツの時など歩く、走る、飛ぶ、様々な場面で人は「面ではなく複数の移動する点で支える」静的不安定を紡ぐことで地球上で動いています。足圧分布測定等で5本の指が接地して足の裏全体で体を支えれている事が良しとする接地面が広いほど安定し、力を伝えやすいという思い込みは非常に強固です。
そもそも日常生活、スポーツ時、測定の時のように両足を揃えて立つ事を行う場面はあるのでしょうか?
地球上で動くための人のシステムや足の動きや構造の理解がもっと広がっていき本当に必要な事を見極める力はとても大切だと感じます。