テニスショップADO菅原です。突然ですが『腹圧』をご存知ですか?世の中ではあまり浸透していない言葉ですので『体幹』と言った方がわかりやすいかもしれないですね。特にスポーツの世界ではここ数年で一気に広まっていった言葉です。体幹大事!体幹鍛えろ!などが常識となっています。

解剖学的に言いますと頭部と手足を除いた胴体部分のことをいい表現は様々ありますが『胸郭』と『腹部』が『体幹』になります。

骨格イラストでみて頂くと『胸郭』は肋骨があり大切な肺を守るために骨で覆われいます。一方『腹部』はどうでしょうか?胸郭のように骨には覆われていません。臓器をとってしまうと背骨があるだけですので何か支えるものがなければ体がフニャっとなってしまいます。それを支えているのが『腹腔内圧』『腹圧』と言います。お腹の中に風船が入っているような感じです。

この『腹圧』は
●上面を横隔膜
●周囲を腹横筋
●下面を骨盤低筋群
がつくっています。これが体幹いわゆる『インナーマッスル(深層筋)』になります。人間のすべての器官、筋肉、骨などは膜組織という結合組織で包まれています。筋肉を包んでいるのが筋膜これも最近よく耳にする『筋膜リリース』がこの筋膜です。腹横筋の筋膜つながりは上は横隔膜下は骨盤底筋群の筋膜にとながっていてこの,おなかの中心の膜組織でつながった風船みたいな空間を『腹圧』と言います。体の中から体を支えるためにはこの風船がしっかり膨らんでいる事が重要です。

子供達のお腹を見たことがありますか?お腹がプクッと膨らんでいませんか?あれが『腹圧』です。大人達に比べて筋力がないですが走ったり、飛び跳ねたり一日中動いてもとても元気ですよね。 『腹圧』つまりインナーマッスルが効率よく働いてくれているのでアウターマッスルに頼らなくてもあれだけ元気に生活できています。

そしてこの『腹圧』と大きな繋がりがあるのが実は『足』になります。人間は地球上で唯一2足走歩行できる動物ですが2足で立つということは4足動物と比べてとても不安定になります。立っている時には足の裏(足底)のみで床面に接触していますので足の裏側には姿勢を調整するためのセンサーである感覚受容器というものが豊富に存在しています。腹圧と関連する筋膜と足の筋とは密接なつながりがあるので足からの刺激と脳の関係でも、この腹腔内圧は関連性が高くなります。もし足の構造による崩れなどの問題、扁平足、外反母趾や合わない靴を履いているなどで足に問題があると腹圧は低下しやすくなってしまいます。つまり『体幹』が減衰してしまいます。

スポーツの世界で筋肉トレーニングなど筋力に対して注目されがちですがそもそも筋活動のすべては中枢神経系の振る舞いになります。つまり入力された感覚に対してただ出力をしているだけです。体幹も含め体の安定には足から入る刺激が大切になります。どんな靴とインソールで正しい刺激を入れてあげるかがとても重要な要素になるんですよ!!

お子様をみて日常的に姿勢が悪かったりスポーツの時に身体がフニャフニャしてしまうなどがある時は筋トレするよりも足を疑ってください。腹圧が関係している可能性が高いですよ。