テニスショップADO菅原です。昨日の全豪オープン男子決勝みましたか?ジョコビッチVSメドベージェフもう少し接戦になると思いましたがジョコビッチが強かったですね。でもメドベージェフも素晴らしかった!!今後の益々の活躍に期待です。
ダニール・メドベージェフの身長は198cm一般的に背が高い選手はサーブは強いが俊敏性に欠けるということを良くいわれていますよね。でもメドベージェフは長身ながらスピードともあり高いコートカバーリング能力がありますよねストロークも非常にしなやかです。彼の動きをバイメカ的に考察してみましたが、人類史上最速のスプリンターと評されたウサイン・ボルトの全身の連鎖に非常に似ていると感じました。
ボルトの身長は身長195 cm 日本の短距離界では身長が190cm以上の選手は速く走ることができないというのが常識でした。人の体には全部で68個もの関節があり、骨と骨とをつないでいます。人の身体は関節を軸にした回転運動がとても多いです。例えば肘を曲げるという運動は肘の関節を軸にして回転することで曲げるという運動を成り立たせています。身長が高い選手を考えた時に低い人よりも手足などが長くなりますので肘を曲げるという運動をした時に慣性モーメントが大きくなります。慣性モーメントが大きくなると動かし始めるのも大変ですし一度動き出すと止めるのも大変になります。
ですので手足が長いということは上肢、下肢を動かし進むには身長が190cm以上の選手は効率が悪く速く走れないという事が言われていました。
しかしボルトの身体の使い方は頭部、体幹部、上肢、下肢全部を動きたいように動かし関節を柔軟に動かす事により上肢、下肢を上手くたたたみコンパクトにし慣性モーメントを小さくする事で人いう構造体を効率よく前に進ませる事をしています。
全身がグニャグニャ動いていますよね。(スロー再生してもらうとよりわかりやすいと思います。)メドベージェフ選手の動きはボルトの身体の使い方と非常に似ています。
手足が長い事でオクトパスと呼ばれているそうですがフットワークもですがストロークの動きをみても長い上肢、下肢上手く関節を曲げてコンパクトにしていますよね。 正直フェデラー、ジョコビッチなどのフォームと比べると美しくないですよね。特殊なテニスです。
でもジュニア時代から彼が何も考えずにやっていたか誰かに言われても無視してきたかは分かりませんが小さい頃から動きたいように身体を動かし感覚を統合させる事で彼にとって最適な身体図式(ボディスキーマ)を構築した事が今の彼をつくったと思います。スムーズに動けないという身体的な不都合を人が持つ代償力で補った代償力が良い方に働いたケースですね。
現状の日本ではメドベージェフのような選手は残念ながら生まれないでしょう。日本のスポーツ指導はテニスも含め型にこだわりコマ送り感覚の運動指導が大変多いと感じてます。そして見た目の美しさにこだわります。
●上下動するな●左右に揺れるな●軸をブラすな●手首はこの角度●膝をしっかり曲げて●前傾姿勢をつくれ●骨盤はこの角度●姿勢を良くしろ●自ら脚を振り下ろす運動+足で地面をとりにいく『踏み足』 ●意識的な接地を強いる運動 etcこれらは体幹や骨盤などの位置や姿勢を規定する運動、動くべき部位を制限する運動になり、わざわざ『止める』ための筋活動を敷いている大変非効率的な運動になります。そこには日本人は外人に比べて非力である、日本人はこうあるべきという根拠のない概念が世界と戦えなくしてしまっているのもあると思います。
世界の一流アスリートはフィジカルの強さではなく身体は『動きたがるところは動かして』リラックスしたしなやかな運動、そしてバンバン上下左右に動かして落下して床反力や慣性力など外力を使った運動になります。運動がナチュラルに生成さる事でが速いし強いし、身体的にも負荷がかかりにくい。ナチュラルな運動の中でトレーニングをする事でより効率の良い運動ができるようになります。
日本のジュニアはとても世界的にもレベルが高いと思います。技術もありますしどのショットをやらせてもそつなくこなします。ただ個性がないように思います。日本独特のスポーツ指導では突出した才能が生まれにくいと感じます。選手には全く罪はありませんが。
才能に溢れた未来ある子供達のためにも記録、結果などを運動が正しくできてるという根拠にせず怪我をしないという事を第一義に日々の指導にあたって頂きたいです。