ガットとストリングの違いは?

お店で張り替えをお願いする時『ガットの張り替えお願いします』『ストリングの張り替えお願いします』どっちを使いますか?おそらく前者の方が多いのではないでしょうか?

そもそも『ガット(GUT)』の語源は「腸」つまりナチュラルになります。昔は羊の腸を使用していましたのでナチュラルではなくシープと言っていましたが、牛の腸を使用する事になりその後ナチュラルと呼ばれるようになりました。木製ラケットの時代からテニスをされてらっしゃる方は今でもシープと言う方もいらっしゃいます。

ただナチュラルは牛の腸を主原料とした天然素材のためコストもかかり湿気等に弱いということもあり、安価で加工しやすい人工素材のナイロンガットが登場しました。このナイロン素材でつくられたものをストリング(Stfing)と言います。ストリングは「ひも、糸」と言う意味です。

ただ日本ではガットという言葉が非常に定着していますのでストリングとはあまりいいませんよね。海外では逆でガットは言わずストリングと言うのが一般的のようです。

ガットの基本構造


コーティング;表層部に被覆された部分
外観の色、手触りを決める。内部を保護して耐久性を高める。表面を平滑にして張りやすくする。
●側系(皮糸);芯糸と回りにラセン状に巻き付けられる糸
モノフィラメント単体にくらべて柔らかく扱いやすくなる表面のキズや摩耗に対して内部(芯系)を保護する。打感を変える
●芯糸;中心部分を構成する糸
ガットを構成する主成分、基本的な性能が決まる。

ガットの構造


モノ;単一構造
特徴;糸状が太いので耐久性に優れている


モノフィラメントタイプ;単一芯のモノに数本側糸を組み合わせた構造
特徴;反発力に優れ、耐久性もある


マルチフィラメントタイプ;1000本以上の細い糸を束ねた構造
特徴;ソフトな打球感。耐久性劣る


海島タイプ(ゴーセンオリジナル構造);モノフィラメントの中にモノフィラメントの島を持つ構造
特徴;反発力に優れ、ホールド感がある

ガットに使用される素材

特殊繊維;耐熱、高強力繊維、ケブラー、PPS、ZYEX、耐熱繊維ノーメックス、CX等。伸度が少なく硬いものが比較的多い。耐久性向上のために使われる事が多い。

ポリエステル;単一繊維で硬く、切れにくい素材であるがテンション維持する力は他に比べて弱い素材の長所を活かせるのは力のあるプレーヤー

ナイロン;ガットとして最も多く使われている素材、湿度に対して強い。硬い、柔らかい等多くの種類があり、組み合わせ方で色々な特徴を出すことが出来る。

ポリウレタン;ガットに使用されるものは柔らかく、伸びる素材が多い。すべりや捻れにも強く耐久性もあるが伸びやすいのが弱点。

ナチュラル;牛の腸を主原料とした天然素材。腸の繊維をより合わせて1本の糸に仕上げる。柔く、音も良いが湿気に弱い。

硬さ;硬い 特殊繊維>ポリエステル>ナイロン>ナチュラル 柔らかい
パワー;不要 ナチュラル>ナイロン>ポリエステル>特殊繊維 必要

張りの強さの低下

ガットは張り上げてた瞬間からどんなガットでも時間の経過とともに少しずつ伸びていきます。一般的には張り上げてしまうと一度も使用していなくても約3ヶ月で弾力性を失い、ボールを飛ばす力がなくなってしまいます。
ボールを飛ばす力がなくなると
●ボールが飛ばない
●スピンが掛からない
●雑振動が出る
上記のような現象が現れます、そうなるとプレーヤーは無理に力を入れて打ったり、変にスピンを掛けようとして手首をこねたり無理をして打ちます。このような無理はフォームを崩してしまうばかりか手首や肘に大きな負担がかかる原因になります。

温度湿度の影響

ナイロンガットの場合、高温で伸び(一部を除く)低温で縮む特徴があります。湿度はナイロンガットの場合、あまり影響は受けませんが、濡らしてしまうと品質は低下します。

約3ヶ月で弾力性を失う+温度の影響を受ける+日本には四季がある=季節ごとの張り替えが必要温度の違いによりテンションを変えることを忘れないでください。春と夏を基準にすると夏と冬とでは気温のに合わせて2から3ポンド程度調節しなければなりません。

ガットの特性

●飛び(球離れ)細い>太い
●耐久性 細い<太い
●スピン性能 細い>太い
●打球感 細い>太い 打球音が高い=いい音と思う方は多いですが、同時に硬いと感じる方もいます。
●マイルド感 細い>太い ゲージが太い方が打球時の衝撃が少ないために柔らかいと感じる人がいます。

ゲージについて

細いガット;反発力が高くサーブ&ボレー向き反発力が高くサーブ&ボレー向き

太いガット;安定感が高くグランドストローク向き反発力は弱まりますが、切れにくいため耐久性はアップ。ボールのホールド感と打球感が安定します。

ラケットタイプとガットの関係

■軽量タイプ・厚ラケ(ワイドボディ)のラケット
これらのタイプのラケットに硬めのガットを選ぶと、衝撃が非常に強いため、手首や肘を痛めてしまうことがあります。柔らかいホールド感のあるガットや振動吸収性のあるガットが良いでしょう。面の大きなラケットはスイートスポットが大きくボールが良く飛ぶため、テンションを上げて飛びを抑えたり、逆に面の小さなラケットはボールの飛びが悪くなるため、テンションを下げたり、細めのゲージを選ぶなどの工夫が必要です。

テンションの違いによる打球感

■テンションについて
高テンション
スイングスピードの速いプレイヤーにおすすめ ボールを押し出す力を抑制し、飛びすぎを防ぎます。スイングスピードが速いプレイヤーは、スイングスピードの速さに対してガットの戻りが追い付かないため、高テンションの方がプレイが安定します。
低テンション
ボールを飛ばしたいプレイヤーにおすすめ ガットをたわませることで、ボールを飛ばすことができます。また、ボールを包み込むのでホールド感があります。ボールとガットの接触時間が長く、回転がかかりやすくなります。